相続が発生したらすべきこと
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相続手続きの中には、その手続きを実施する期限が定められているものもあり、
期限までに実施しないと思わぬ不利益を受ける可能性がありますので、注意が必要です。
公的年金の受給停止手続
公的年金を受給している方が亡くなった場合、年金事務所へ届出を行わなければなりません。
届出を行わないと年金が支給され続けるからです。
国民年金は死亡日から14日以内、厚生年金は死亡日から10日以内が期限とされています。
手続を怠ると不正受給とみなされる場合がありますので注意が必要です。
遺言書の確認
近年、遺言書を残す人が少しずつ増えています。
銀行の貸金庫や故人の引き出しの中に遺言書がないかどうか確認する必要があります。
もしも遺言書が見つかったら、開封せずに家庭裁判所で検認手続を実施してもらいます。
公正証書遺言の場合、平成元年以降の遺言であれば、公証人役場で検索することができます。
また、令和2年7月10日から自筆証書遺言書保管制度が始まりました。
この制度は、自筆証書遺言を法務局で保管してもらえる制度です。
この制度により、法務局に自筆証書遺言が保管されていないか確認することも必要です。
相続放棄
相続人は、相続開始の時から、被相続人(亡くなった方)に属した財産上の一切の権利義務を承継します。
その一方で、相続人にはこの財産上の一切の権利義務の承継を放棄する権利が認められています。
これを相続放棄といいます。相続放棄によって、相続人は被相続人の財産を取得する権利を失う一方、被相続人の負債(借金など)を引き継がなくてもよくなります。
亡くなった方に多額の借金があり、相続人がその借金を引き継ぎたくない場合は、相続放棄を選択します。
相続放棄をするためには、相続人となったことを知った時から3ヶ月以内に、家庭裁判所に申し出なくてはなりません。
この3ヶ月という期間を過ぎてしまうと、原則として相続放棄ができなくなってしまうので注意が必要です。
なお、故人に借金などの負債がない場合で、相続人が単に相続財産の受け取りを辞退することは、相続放棄ではありません。
たとえば、故人に借金がなく、妻と兄が相続人であり、兄が相続財産の受け取りを辞退する場合は、上記のような家庭裁判所への申し出は必要なく、遺産分割協議書において兄が相続財産を受け取らない旨を記載するだけで足ります。
準確定申告
お亡くなりになった方に申告すべき所得があった場合は、相続人がお亡くなりになったことを知った日の翌日から4ヶ月以内に準確定申告が必要となります。
準確定申告とは、亡くなった年の確定申告であり、準確定申告による納付税額は相続税申告における債務控除の対象となり、また還付がある場合の還付金は相続財産に計上する必要があります。
相続税の申告
まず、ご自身が相続税の申告が必要かどうかを確認する必要があります。
→相続税がかかるかどうかは自分でチェックできる?
戸籍謄本、預貯金の残高証明書等、相続税の申告が必要かどうかを判定するための資料を収集します。
基本的には、相続税の申告が必要かどうかの判断については税理士に相談することをおすすめします。
相続税の申告が必要であることが明らかとなった場合は、申告のための準備に入ります。
税理士に依頼すれば、どのような書類が必要となるのかアドバイスを受けることができます。
相続税の申告期限は相続が発生したことを知った日の翌日から10ヶ月以内です。
時間的に余裕があるようにも見えますが、相続財産の内容や遺産分割協議の状況などにより、
申告期限に間に合わなくなる場合もありますので、早めに着手することが必要です。
遺留分侵害額請求
遺留分とは相続人に保証される遺産の最低限度の取り分のことです。遺言等により、特定の者に遺産が遺贈又は贈与され、その結果相続人の遺留分が侵害される場合、遺留分を侵害された相続人は遺留分侵害額の請求をすることができます。
遺留分侵害額の請求は、遺留分を侵害している相手方に内容証明郵便等により遺留分侵害額請求権を行使する旨の意思表示をする必要があります。
遺留分侵害額請求権は、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年又は相続開始の時から10年を経過したときに時効により消滅します。
特別寄与料の請求
特別寄与料とは、相続人でない親族が、一定の条件のもとに財産を受け取ることができる制度です。
被相続人の長男の嫁が、被相続人の生前に世話をしていたというのはよくある話ですが、この制度が創設される前は、どんなに世話をしても、相続人ではないという理由で一切財産を受け取ることができませんでした。
民法の改正によって、相続人でない親族が被相続人に対して無償で療養看護を行い、これによって被相続人の財産の維持または増加に特別の寄与をしたと認められる場合には、その親族は相続人に対して特別寄与料としての金銭を請求することができるようになりました。
特別寄与料の請求は、相続人との間の話し合いによって行われますが、話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所に調停又は審判の申立てをすることができます。
この調停又は審判の申立て期限は、特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から6ヶ月以内、又は相続開始から1年以内です。
遺産分割協議書の作成
遺言がなく、相続人が複数いる場合、遺産分割協議書の作成が必要となります。
遺産分割協議書は、相続人間で故人の遺産をどのように分割したのかを示す文書です。
遺産分割協議書は、不動産の相続登記や預貯金の解約手続の際に必要となります。
不動産の相続登記
これまでは、相続により不動産を取得した場合、その所有権移転登記(相続登記)については特に義務付けれられていませんでした。
しかし、相続登記を怠る人が増えた結果、所有者不明土地の増大が社会問題となりました。
そこで、令和6年4月1日以降、相続により所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければならないこととなりました。